この記事では、次のような疑問や悩みに答えます。
- Retroid Pocket 5、Mini、Flip2 に別のOSを入れたい。
- Retroid Pocket 5、Mini、Flip2 にカスタムファームウェア「ROCKNIX」を導入するやり方が知りたい。
Retroid Pocket社から販売されているRetroid Pocket 5、Mini、Flip2には、デフォルトでAndroidOSが搭載されています。
Retroid Pocket 5 については、以下の記事で紹介しています。
AndroidOSでも十分に便利ですが、レトロゲームを遊ぶときにはLinuxOSの方が便利なことや、使い慣れているという場合もあります。
そこで本記事では、Retroid Pocket 5にカスタムファームウェア「ROCKNIX」を導入する方法を紹介します。
「ROCKNIX」を導入しても、元のAndroidOSには一切変更は行わず、どちらのOSも使えるようになります。気に入らなかったらAndroidOSを今までのように使えば良いので、お手軽に試せます。(microSDカードにROCKNIXのOSイメージを作成し、そのmicroSDから起動する形です。)
いつもとは違ったOSで遊んでみたいという方は、ぜひ参考にしてください。
カスタムファームウェア「ROCKNIX」とは
「ROCKNIX」は、レトロ ゲームのエミュレーションに重点を置いた、携帯型ゲーム デバイス用の Linux ディストリビューションです。
AnbernicやPowkiddyなどのメジャーな中華ゲーム機に対応しているカスタムファームウェアで、Retroid Pocket 5、Mini、Flip2 にも対応しています。
詳しくは、以下のROCKNIXのWikiで確認できます。
「ROCKNIX」導入の事前準備
「ROCKNIX」を導入するためには、以下の事前準備が必要となります。
<事前準備>
・microSDカード
・パソコン
・Rufus(microSDへ書き込むツール)のインストール
microSDカード
microSDカードを1枚用意します。
今回は、256GBのmicroSDを用意しました。

容量はゲームデータの量に合わせて用意してください。
(ゲームデータが少ないのであれば、64GBや128GBでも問題ありません。)
パソコン
「ROCKNIX」の導入作業にはパソコンが必要です。
本記事では、Windows11のパソコンを使って説明します。
また、パソコンでmicroSDカードの読み書きを行うため、パソコンにSDカードスロットが搭載されていない場合は、microSDカードリーダーも必要になります。
Rufus(microSDへ書き込むツール)のインストール
「ROCKNIX」のOSイメージをmicroSDに書き込む作業が必要になります。
そのため、microSDに書き込むソフトとしてRufusを使います。
用意したパソコンにRufusをダウンロードして配置します。
Rufusはパソコンへのインストール作業は不要で、以下のサイトからダウンロードしたexeファイルを任意の場所に配置して実行するだけで使えます。
「ROCKNIX」の導入手順
「ROCKNIX」の導入手順を説明します。
(前述の「事前準備」を済ませている前提で進めます。)
導入の流れは以下のようになります。
1)「ROCKNIX」のイメージファイルをダウンロードする
2)microSDに「ROCKNIX」のイメージファイルを書き出す
1)「ROCKNIX」のイメージファイルをダウンロードする
「ROCKNIX」のイメージファイル(OSファイル一式をまとめたもの)をインターネットからダウンロードする手順を説明します。
パソコンのWebブラウザで以下のサイトにアクセスします。
アクセスすると以下のような画面が表示されます。
(執筆時点では、バージョン「20250517」が最新でした)

下の方にスクロールすると、「ROCKNIX」のイメージファイル(圧縮形式)のダウンロードリンクがあります。「Retroid Pocket 5, Mini, Flip2」用のリンクをクリックしてイメージファイルをダウンロードします。

エクスプローラでダウンロードできていることを確認します。

ダウンロードしたイメージファイルは圧縮されているので、ファイルを右クリックして「すべて展開」を選択し、解凍します。
解凍すると、指定したフォルダに「〜.img」ファイルができます。
この「〜.img」ファイルが「ROCKNIX」のイメージファイルです。

2)microSDに「ROCKNIX」のイメージファイルを書き出す
microSDに「ROCKNIX」のイメージファイルを書き出す手順を説明します。
パソコンにmicroSDを挿入します。
Rufus(microSDへ書き込むツール)を起動します。
Rufusの画面で、
最初に、「デバイス」で、microSDを選択します。
次に、「ブートの種類」で、「選択」ボタンをクリックして「ROCKNIX」のイメージファイル(〜.imgファイル)を選択します。
最後に、「スタート」ボタンをクリックします。

「スタート」ボタンをクリックすると、警告が表示されます。
間違いなく対象のmicroSDであることを確認して「OK」をクリックします。

書き出しが完了すると以下のような画面になります。
「閉じる」をクリックしてRufusを終了します。

これで「ROCKNIX」のmicroSDが完成しました。
Retroid Pocket 5 (Mini, Flip2) で「ROCKNIX」を起動
「ROCKNIX」のmicroSDが完成したので、Retroid Pocket 5 (Mini, Flip2) で「ROCKNIX」を起動していきます。
microSDをRetroid Pocket 5のmicroSDスロットに入れます。

Androidが起動している状態で電源ボタンを長押しし、再起動するのですが、再起動をタップした後に、音量のプラスボタンを押しっぱなしにします。

しばらくすると、画面左下に小さな字がいくつか表示されます。

拡大すると下の写真のような感じで、メニューが表示されています。
(写真の字が見えにくいのはご了承ください。)
上から2つ目に「Boot」というのがあるので、音量のマイナスボタンを押して「Boot」を選択し、電源ボタンを押して、決定します。

機種(Retroid Pocket 5、Mini V1、Mini V2、Flip2)を選択する画面が表示されます。
今回はRetroid Pocket 5なので、一番上の「Retroid Pocket 5」が選択された状態で、電源ボタンを押して決定します。(ここでも音量ボタンで選択対象の変更ができます。)

以下のような画面が表示されます。
途中で、一度Androidが起動しますが、再起動の直後に音量のプラスボタンを長押しして、再度ROCKNIXを起動させてください。(途中でAndroidが起動するのは初回起動時だけです)

しばらくするとROCKNIXの画面が表示されます。

ROCKNIXを起動する際には、毎回Androidから再起動後に音量のプラスボタンを長押しして、起動させる必要があります。(面倒なので、いきなりROCKNIXを起動させられると良いのですが、今のところその方法はなさそうです。)
「ROCKNIX」の設定、ROMファイルの準備
無事に「ROCKNIX」が起動しましたので、ここでは「ROCKNIX」の設定とROMファイルの準備について説明します。
言語とタイムゾーンを変更
デフォルトでは表示が英語になっていて、タイムゾーンも日本ではありません。
ここでは、言語を日本語、タイムゾーンを日本(ASIA/TOKYO)に変更する方法を説明します。
スタートボタンを押して、メインメニューを表示します。
「SYSTEM SETTINGS」を選択します。

デフォルトでは、LANGUAGE (REGION) が「ENGLISH (US)」に、TIMEZONEが「AMERICA/NEW_YORK」になっています。

LANGUAGE (REGION) を「JAPANESE」に、TIMEZONEを「ASIA/TOKYO」に変更します。

変更を反映するには、再起動が必要になります。
Bボタンを何回か押して、メインメニューを終了します。
その後、セレクトボタンを押して、以下のQUICK ACCESSの画面を表示し、「RESTART SYSTEM」を選択して、再起動を行います。

再起動後は、設定した言語とタイムゾーンに変わります。
日本語に設定しても、一部の文字が英語のままになっている箇所が結構あります。
ネットワーク(Wi-Fi)の設定
ネットワーク(Wi-Fi)の設定方法を説明します。
スタートボタンを押して、メインメニューを表示します。
「ネットワーク設定」を選択します。

デフォルトでは、WI-FIのSSIDとキー(パスワード)が設定されていない状態です。
(「WIFI SSID」と「WIFIキー」の項目が表示されていない場合は、「WI-FI 有効」がONになっていない可能性があります。)

WI-FIのSSIDとキー(パスワード)を設定します。

Bボタンを押して一つ前の画面に戻ると、WI-Fiが有効になります。

アナログスティックの点灯を変更する
デフォルトでは、アナログスティックがバッテリー残量にあわせた色で点灯します。
ここでは、アナログスティックの点灯の色を変更したり、消灯する方法を説明します。
スタートボタンを押して、メインメニューを表示します。
「システム設定」を選択します。

「LED COLOR」を選択します。

「LED COLOR」では、以下の3種類から選択できます。
「OFF」は消灯。「RGB」は指定した色で点灯。「BATTERY」はバッテリー残量にあわせた色で点灯。

「LED COLOR」で「RGB」を指定した場合、「ANALOG STICKS LED COLOR」で点灯させる色を設定できます。

輝度や色を自由に設定できます。


microSDにUSB接続でアクセスできるようにする
パソコンからRetroid Pocket 5 のmicroSD(ROCKNIXが入っているmicroSD)にアクセスできるようにする方法を説明します。
この設定をしておくと、ゲームデータ(ROMファイル)のコピーなどを行う際に便利です。
パソコンとRetroid Pocket 5 をUSBケーブルで接続するだけで、パソコンからRetroid Pocket 5 内のmicroSDに直接アクセスできるようになります。
スタートボタンを押して、メインメニューを表示します。
「ネットワーク設定」を選択します。

デフォルトでは、「USB GADGET FUNCTION」が「DISABLED」になっています。

「USB GADGET FUNCTION」を「FILE_TRANSFER」に変更します。

これでパソコンからRetroid Pocket 5 内のmicroSDに直接アクセスできるようになりました。
ROMファイルの準備
パソコンとRetroid Pocket 5 をUSBケーブルで接続します。
パソコンのエクスプローラでRetroid Pocket 5 の中にあるmicroSDにアクセスできます。

Romsフォルダの中には、ゲームごとにフォルダが作成されています。

遊びたいゲーム機のフォルダにROMファイルをコピーします。
例えば、PlayStation2であれば「ps2」フォルダの下に、PlayStation2のROMファイルをコピーします。

BIOSが必要な場合は、「bios」フォルダにBIOSファイルをコピーします。
(BIOSを必要としないゲーム機であればこの作業は不要です)

これでROMファイルの準備は完了です。
「ROCKNIX」の使用感
ROCKNIXでは、ROMのデータを自動的にスキャンし、ROMが入っているゲーム機が選択できるようになります。
先ほどPlayStation2のROMを入れたので、下の写真のようにPlayStation2が選択できるようになりました。

PlayStation2を選択すると、ソフトの選択画面が表示されます。
ここでプレイするソフトを選択します。
(PlayStation2の場合、初めはソフトを選択してもすぐにソフトは起動せず、ROMファイルを再度選択すると起動しました。ファミコンやゲームボーイアドバンスなど他のゲーム機では、ソフトを選択するとすぐに起動します。)

ソフトが起動しました。

もちろんゲームをプレイできます。
ホームボタン+スタートボタン2回押しでゲームを終了できますが、ゲーム機によってはそれでも終了できない場合があります。その時はスタートボタンとセレクトボタン、L1、R1を同時押しすると終了できる場合があります。

基本的にROMファイルをフォルダに入れておけば、自動的にそのゲーム機とソフトが表示されるので簡単で、手間もかかりません。(Androidの場合は、エミュレーターのアプリを入れる手間がかかるので、ROCKNIXはその点が楽です。)
なんとPS3もプレイ可能です。
やり方は以下の記事で紹介していますので、参考にしてください。
日本語表示にも対応しているというのが嬉しいですが、翻訳できていない部分も多いのが実情です。英語は全然ダメという方は少し苦労するかもしれません。
設定項目が多岐に渡り、エミュレータの設定を変更するなど細かいも設定が可能です。
慣れたら色々と触ってみると良いです。
テーマを変更すると見た目が変わって楽しいです。
起動するには、一度Androidを立ち上げてから再起動する必要があるので少し面倒ですが、長期間でなければスリープ運用することで、起動の手間を減らせます。(トップ画面で12時間ほどスリープで放置して、バッテリーは15%〜20%消費するぐらいの感じです。)
まとめ
本記事では、Retroid Pocket 5にカスタムファームウェア「ROCKNIX」を導入する方法を紹介しました。
ROMファイルをフォルダに入れておけば、自動的にそのゲーム機とソフトが表示されるので、手間をかけず簡単にエミュレータで遊べます。
何よりも、「ROCKNIX」を導入しても元のAndroidOSも普通に使用でき、好きな方を選択して遊べるところが嬉しいです。LinuxOSとAndroidOSとでは、それぞれに良さがあるので、使い分けてみるのも楽しいです。
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