この記事では、次のような疑問や悩みに答えます。
- 性能の高いミニPCを探しているが、できるだけ価格を抑えたい。(性能と価格のバランスが良いミニPCがほしい)
 - GMKtecのミニPC「M3 Ultra」がどのような製品か知りたい。
 
GMKtecからミニPC「M3 Ultra」が発売されました。
そこで本記事では、GMKtecのミニPC「M3 Ultra」を紹介します。
最大の特徴は、旧世代のCPUである「Core i7-12700H」を採用することで、性能の高さを確保しながらもコストを抑えた製品です。3〜4万円以内で購入できる価格重視のミニPCとは性能が圧倒的に異なり、ミニPCの中ではミドルハイクラスに位置する製品です。
また、メモリは16GB、SSD 512GBを搭載し(メモリ 32GB、SSD 1TBモデルもあり)、こちらも十分なスペックです。
小さな筐体に、パワフルな性能を詰め込んだ魅力的な製品に仕上がっています。
記事内では、製品概要や機能の紹介に加え、実際に性能の計測も行いますので、ぜひ参考にしてください。
GMKtecのミニPC「M3 Ultra」の製品概要
「M3 Ultra」は、GMKtecが販売するCore i7-12700Hを搭載した小型のパソコンです。
CPUはCore i7-12700H(14コア、20スレッド)、メモリは16GB、ストレージはSSD 512GBを搭載しています(メモリ 32GB、SSD 1TBモデルもあり)。また、M.2 の空きスロットが用意されていて、最大8TBまで拡張可能です。
手のひらに乗せられるぐらいコンパクトなサイズ感です。
主なスペックは以下の通りです。
| モデル | M3 Ultra | 
| CPU | Intel Core i7-12700H (14コア、20スレッド、キャッシュ24MB、最大ブースト・クロック4.7GHz、TDP45W)  | 
| グラフィック | Intel Iris Xe グラフィックス | 
| メモリ | 16GB DDR4 3200MHz ※32GBモデルあり  | 
| ストレージ | 512GB ※最大4TBまで拡張可能 (M.2 2280) ※1TBモデルあり  | 
| ストレージ拡張 | M.2 2242 SSD スロット ※最大4TBまで拡張可能 | 
| インタフェース(前面) | USB 3.2 Gen2 ポート(Type-A) x 2 電源ボタン  | 
| インタフェース(背面) | DC ジャック 3.5 mm ヘッドフォン ジャック x 1 HDMI ポート x 2 RJ45 2.5ギガビット イーサネット ポート x 1 USB 2.0 ポート(Type-A) x 1 USB 3.2 Gen2 ポート(Type-A) x 1 USB Type-Cポート x 1 ※DP対応  | 
| ワイヤレス | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 | 
| OS | Windows11 Pro | 
| サイズ | 114 × 106 × 42.5 mm | 
| 重量 | 約 430g | 
詳細は、以下の公式サイト、またはAmazonのサイトでも確認できます。
■メモリ 16GB、SSD 512GBモデル
■メモリ 32GB、SSD 1TBモデル
GMKtec「M3 Ultra」のパッケージと内容物
GMKtec「M3 Ultra」のパッケージは、しっかりとした紙製の箱です。
薄いビニールで保護されているので、配送時の水濡れの心配がありません。

パッケージは全体的にグレーがかった色合いで、表側は、中央に「GMKtec」の文字が入っているのみのシンプルなデザインです。

パッケージ自体では「M3 Ultra」であることは分からないのですが、裏側に貼られたバーコードの上部に記載があり、「M3 Ultra」のメモリ 16GB、SSD 512GBモデルであることが記載されています。

パッケージを開封すると、内容物がしっかりと収まっています。

パッケージの中には、以下の5点が入っています。
<内容物>
・ミニPC本体(M3 Ultra)
・電源アダプタ
・HDMIケーブル
・VESAマウントキット(ネジ含む)
・書類一式(取扱説明書、保証に関する案内)

電源アダプタとケーブルは分離できます。(接続はミッキー型コネクタです)
最大出力は100Wです。



HDMIケーブルが付属します。

VESAマウントするための金具とネジが付属します。
VESA対応のディスプレイの裏などに固定したい場合に使用します。

書類一式として、取扱説明書と保証に関する案内のカードが付属します。
取扱説明書は各国語併記で、日本語の記載もあります。


GMKtec「M3 Ultra」の外観
GMKtec「M3 Ultra」の外観を紹介します。
色はブラックと濃いグレーで、側面は金属製で剛性が高いです。
特に上面(天面)は強化ガラスのカバーが採用されていて、全体的に高級感があります。

上面(天面)は、中央に「GMKtec」の文字がプリントされています。
Intel CORE i7のシールも貼られています。
強化ガラスのカバーが鏡面仕上げになっていてとても美しいです。

前面には、ボタンや端子類が配置されています。
左から、「USB 3.2 Gen2 ポート(Type-A) x 2」、「電源ボタン」が配置されています。

背面にも端子類が配置されています。
左から、「DC ジャック」、「3.5 mm ヘッドフォン ジャック」、「HDMI ポート」、「RJ45 2.5ギガビット イーサネット ポート」、「USB 2.0 ポート(Type-A)」、「USB 3.2 Gen2 ポート(Type-A)」、「USB Type-Cポート ※DP対応」、「HDMI ポート」が配置されています。

側面には端子類などはなく、通気口があります。


底面には、ゴム脚とVESAマウント用のネジ穴があります。
(技適マークも取得されていますので、国内でも安心してワイヤレスでの利用が可能です)

底面の4箇所のゴム脚の中に本体を開けるためのネジ穴があります。そのネジを外し、底面のカバーを外すと内部にアクセスできます。プラスドライバのみで簡単に作業できます。
M.2 2242のスロットが空いているのが確認でき、すでに装着済みのSSDやメモリも交換可能です。

GMKtec「M3 Ultra」の基本スペックを確認
「M3 Ultra」に電源アダプタとディスプレイ、キーボード、マウスを接続して起動します。

起動すると、Windows11の初期設定画面が立ち上がります。
画面に従って初期設定を進めると、Windows11が使用できる状態になります。


OSは「Windows11 Pro」で、バージョンは 「24H2」でした。

CPUは「Intel Core i7-12700H」で、14コア(高性能コア6つ、省電力コア8つ)、20スレッドであることが確認できました。

メモリはDDR4の16GBで、デュアルチャネル(8GB x 2枚)で動作しています。

SSDは、TWSC製の512GBが搭載されていました。

GMKtec「M3 Ultra」のパフォーマンス設定の変更方法
「M3 Ultra」は、BIOS画面でパフォーマンスの設定を変更可能です。
電源ON直後に、「del」キーを押すとBIOSの画面に入れます。
「Main」の中の「Power Limit Select」を選択します。
(デフォルトは「Balance」に設定されています。)

パフォーマンスの設定は、「Quiet」、「Balance」、「High Performance」の3つから選択できます。性能を最大限まで出したい場合は「High Performance」にします。

GMKtec「M3 Ultra」の性能計測(基本性能)
「M3 Ultra」の基本性能(CPUやGPU、ディスク性能)を計測します。
※全てパフォーマンス設定を「High Performance」にして計測しています
CINEBENCH R23 での計測結果
「CINEBENCH R23」を使ってCPUの性能を計測します。
計測前のCPU温度は60℃弱です。(計測時の室温は29℃程度)

シングルスレッドの性能を計測します。
計測の結果、シングルスレッドのスコアは「1669」でした。
ベンチマーク中の最大温度は97℃で、サーマルスロットリングが発生していますが、スコアも高くCPUの性能をしっかりと引き出せています。

マルチスレッドの性能を計測します。
計測の結果、マルチスレッドのスコアは「11099」でした。
ベンチマーク中の最大温度は97℃で、こちらも結構発熱していて、サーマルスロットリングが発生しています。サーマルスロットリングの影響でスコアも少し抑え気味にはなりましたが十分な値が出ています。

結果をまとめると、以下のようになります。
※参考までに格安PCで採用の多いN100を搭載したミニPCで計測したスコアも載せておきます(PL1=20W、PL2=25Wで計測)
| シングルスレッド | マルチスレッド | |||
| スコア | 最大温度 | スコア | 最大温度 | |
| M3 Ultra (CPU : Intel Core i7-12700H)  | 1669 | 97℃ | 11099 | 97℃ | 
| N100搭載ミニPC (CPU : Intel N100)  | 918 | 71℃ | 2974 | 81℃ | 
N100と比較すると、シングルで2倍弱、マルチでは3倍以上と圧倒的な性能差があります。
Geekbench 6 での計測結果
「Geekbench 6」を使ってCPUとGPUの性能を計測します。
CPUの計測結果は以下のとおり、スコアはシングルが「2392」、マルチが「9273」でした。

OpenCLでのGPUの計測結果は以下のとおり、スコアは「15204」でした。

結果をまとめると、以下のようになります。
※参考までにN100を搭載したミニPCで計測したスコアも載せておきます(PL1=20W、PL2=25Wで計測)
| CPU(シングル) | CPU(マルチ) | GPU(OpenCL) | |
| M3 Ultra (CPU : Intel Core i7-12700H)  | 2392 | 9273 | 15204 | 
| N100搭載ミニPC (CPU : Intel N100)  | 1234 | 3185 | 3286 | 
こちらもN100と比較すると、CINEBENCH R23の時と同様の差が現れています。
また、GPU性能に関しても圧倒的な差が出ています。(N100のゲーム性能はかなり厳しかったので、今回は少し期待が持てます。)
PCMark 10 での計測結果
「PCMark 10」を使って性能を計測します。
オフィスワーク性能を計測し、スコア化できるベンチマークソフトで、現代の職場で行われるさまざまな作業をカバーする包括的なテストを備えています。
計測の結果は、総合スコアが「5500」でした。
その他、Essentialsは「9730」、Productivityは「6621」、Digital Content Creationは「7012」でした。

いずれも高いスコアが出ていて、十分な性能であることがわかります。
CrystalDiskMarkでの計測結果
「CrystalDiskMark」を使ってストレージ(SSD)の性能を計測します。
結果は、読み込みが「3569 MB/s」、書き込みが「2804 MB/s」と十分速い結果となりました。

これだけの速度が出ていれば、速度不足を感じる場面は少ないです。
GMKtec「M3 Ultra」のゲーム性能を計測
本製品はゲーム向けのPCではありませんが、試しにどれぐらいの性能を持っているのかを計測します。
ドラゴンクエストX ベンチマーク
ドラゴンクエストX ベンチマークアプリで計測します。
設定は、標準品質、フルHD(1920 x 1080)、フルスクリーンで実施します。

ベンチマーク中のFPSは多くの場面で100FPSを超えていました。

計測の結果は、スコア「9875」で、評価「とても快適」でした。


ドラゴンクエストX は、比較的軽めなゲームということもあり、快適にプレイできる結果となりました。
ファイナルファンタジーXIVベンチマーク
ファイナルファンタジーXIVベンチマークアプリで計測します。
設定は、標準品質(デスクトップPC)、フルHD(1920 x 1080)、フルスクリーンで実施します。

ベンチマーク中のFPSは多くの場面で40〜50FPS程度出ていました。

計測の結果は、スコア「6747」で、評価「やや快適」でした。


ファイナルファンタジーXIVはドラゴンクエストXに比べて重たいですが、それでも「やや快適」という結果が出ました。十分遊べます。
また、スコア「6747」は、GEFORCE GTX 1650で実施した際のスコアを超える値です。内蔵GPUでここまでのスコアが出ていれば十分です。
GMKtec「M3 Ultra」の使用感
「M3 Ultra」を実際に使用して感じた「良い点」と「気になった点」をお伝えします。
実際に使用して良いと感じた点
高い性能
Webブラウジングやオフィスアプリでの作業、動画視聴、ZOOMなどのオンラインミーティングは快適にこなせます。さらに、動画編集などの重たい作業もそれなりにできます。実際に使用していてもサクサクと動作するので、ストレスを感じる場面はほとんどありませんでした。
CPUのベンチマークでは、N100と比べて圧倒的な差が出ました。格安PCとの性能差は歴然です。また、内蔵GPUの性能も高く、ゲームのベンチマークの計測結果でも示したように、比較的軽い3Dゲームであれば十分に遊べます。ファイナルファンタジーXIVのベンチマークでは、GEFORCE GTX 1650で実施した際のスコアを超える値が出ました。内蔵GPUでここまでのスコアが出ているのには驚きです。
メモリとSSDの換装が可能
M.2 2242の空きスロットが用意されていて、最大4TBまでSSDを増設可能です。
また、元から装着されているSSDも換装可能です。
メモリも最大32GB x2枚の合計64GBに換装可能です。
将来的にメモリやSDDの容量が不足した場合や万一故障した場合でも、増設や交換が可能なので安心です。
3画面同時出力が可能
画面出力に対応したポートが3つ(USB-C x 1ポート、HDMI 2.1 x 2ポート)用意されていて、最大4K60Hzでの3画面の出力に対応しています。
3画面に出力できるので、例えば、業務では複数のデータや資料を同時に表示しながら効率的に作業したり、動画編集ではタイムラインとプレビューを別画面で効率よく確認できます。
他にもあらゆるシーンで役立ちます。
高級感のある本体
本体は、ブラックと濃いグレーを使い分けたカラーリングです。
側面は金属が採用されていて剛性が高く重量感があり、表面はブラスト加工が施されています。
上面(天面)は強化ガラスのカバーが採用され、鏡面仕上げにより、とても美しいです。
全体的に高級感があります。


実際に使用して気になった点
USB Type-Cポートは給電に非対応
所有している140W出力のUSB Type-C充電アダプタを使って起動するかを試しましたが、起動できませんでした。
本機のUSB Type-CポートはUSB PDに対応していないので起動しないのは当たり前と言われればその通りですが、付属の電源アダプタだけでなく、USB Type-Cでも電源供給できると利便性が上がるので、対応していたらさらに良い製品になると感じました。(例えば、PDに対応していれば、PD対応のディスプレイとUSB-Cケーブル1本接続するだけで電源供給と映像出力が可能になります。)
USB Type-Aポートの抜き差しが硬め
前面と背面に合計4つのUSB Type-Aポートが備わっていますが、いずれも抜き差しが硬く、かなり力を入れる必要があります。個体差かもしれませんが、もう少し抜き差ししやすい硬さだと嬉しいです。
まとめ
本記事では、GMKtecのミニPC「M3 Ultra」を紹介しました。
旧世代のCPUの中でも高い性能を誇る「Core i7-12700H」を採用することで、性能を確保しながらコストを抑えた製品です。性能計測で明らかになったように3〜4万円以内で購入できる価格重視のミニPCと比較しても圧倒的に性能が高く、クリエイティブな用途でも活躍します。
また、メモリの換装やSSDの増設、換装にも対応していて将来の拡張も見込めます。
ワンランク上の高性能なミニPCを探されている方には、ぜひ候補にしていただきたい製品です。
  
  
  
  

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