この記事では、次のような疑問や悩みに答えます。
- IntelのCPU N100、N150と同じぐらいの価格帯で、より性能の高いミニPCを探している。
- GMKtecのミニPC「G10」がどのような製品か知りたい。
IntelのCPU N100(ほぼ同じぐらいの性能で、N95、N150、N200などがあります。)を搭載したミニPCがコスパの良さで人気があります。
オフィス作業やブラウジング、動画視聴などの作業であれば、かなり快適に動作し、メモリ16GB、SSD 512GBを搭載したモデルでも2万円台辺りで購入できる安さが売りです。
しかし、このN100搭載機とほぼ同価格帯で、トータル性能の高いミニPCがあります。
それが本記事で紹介するGMKtecのミニPC「G10」です。
「G10」は、CPUにRyzen 5 3500U、メモリ16GB、SSD 512GBを搭載しています。N100搭載のPCと比較してもトータルでの性能が高いです。(実際の性能については記事内でベンチマークによる結果を紹介します。)
同じぐらいの金額を出すのであれば、本製品も検討対象に加えてみてはいかがでしょうか。
記事内では、製品概要や機能の紹介に加え、実際に性能の計測も行いますので、ぜひ参考にしてください。
GMKtecのミニPC「G10」の製品概要

「G10」は、GMKtecが販売するRyzen 5 3500Uを搭載した小型のパソコンです。
CPUはAMD Ryzen 5 3500U(4コア、8スレッド)、メモリは16GB、ストレージはSSD 512GBを搭載しています。また、M.2 の空きスロットが用意されていて、最大16TBまで拡張可能です。
手のひらに乗せられるぐらいコンパクトなサイズ感です。
主なスペックは以下の通りです。
| モデル | G10 |
| CPU | AMD Ryzen 5 3500U (4コア、8スレッド、L3キャッシュ合計4MB、最大ブースト・クロック3.7GHz) |
| グラフィック | AMD Radeon Vega 8 グラフィックス |
| メモリ | 16GB DDR4 2400MHz |
| ストレージ | 512GB (M.2 2280 PCIe3.0x4) |
| ストレージ拡張 | M.2 2280 NVME SSD スロット |
| インタフェース(前面) | 3.5 mm ヘッドフォン ジャック x 1 USB 3.2 Gen1 ポート(Type-A) x 2 電源ボタン |
| インタフェース(背面) | USB (Type-C) x 1 ※PDのみ USB 3.2 Gen1 ポート(Type-C) x 1 ※DP、PD対応 USB 2.0 ポート(Type-A) x 1 RJ45 2.5ギガビット イーサネット ポート x 1 HDMI 2.1 ポート x 1 DisplayPort 1.4 x 1 |
| ワイヤレス | Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0 |
| OS | Windows11 Pro |
| サイズ | 103 × 98 × 42 mm |
| 重量 | 約 284g |
詳細は、以下の公式サイト、またはAmazonのサイトでも確認できます。
GMKtec「G10」のパッケージと内容物
GMKtec「G10」のパッケージは、しっかりとした紙製の箱です。
薄いビニールで保護されているので、配送時の水濡れの心配がありません。

パッケージの表側は、中央に「GMKtec」の文字が入っているのみのシンプルなデザインです。

裏側もシンプルで、パッケージ自体では「G10」であることが分からず、裏側に貼られたバーコードのシールの上部に「G10」が記載されているのみです。

パッケージを開封すると、内容物がしっかりと収まっています。

パッケージの中には、以下の5点が入っています。
<内容物>
・ミニPC本体(G10)
・電源アダプタ
・HDMIケーブル
・VESAマウントキット(ネジ含む)
・書類一式(取扱説明書、保証に関する案内)

電源アダプタの形状はUSB-Cです。
アダプタとケーブルが一体型になっているタイプです。
最大出力は65W(正確には64.98W)です。


HDMIケーブルも付属します。

VESAマウントするための金具とネジが付属します。
VESA対応のディスプレイの裏などに固定したい場合に使用します。

書類一式として、取扱説明書と保証に関する案内のカードが付属します。
取扱説明書は各国語併記で、日本語の記載もあります。


GMKtec「G10」の外観
GMKtec「G10」の外観を紹介します。
色は全体的にシルバーで、金属のように見えますが材質は樹脂だと思われます。
マットな仕上げで、安っぽさは感じません。
一般的なミニPCよりもひとまわりコンパクトなサイズ感です。

上面(天面)は、中央に「GMKtec」の文字がプリントされています。
RADEONとRYZEN5のシールも貼られています。

前面には、ボタンや端子類が配置されています。
左から、「3.5 mm ヘッドフォン ジャック」、「USB 3.2 Gen1 ポート(Type-A) x 2」、「電源ボタン」が配置されています。

背面にも端子類が配置されています。
左から、「USB (Type-C) ※PDのみ」、「USB 3.2 Gen1 ポート(Type-C) ※DP、PD対応」、「USB 2.0 ポート(Type-A)」、「RJ45 2.5ギガビット イーサネット ポート」、「HDMI 2.1 ポート」、「DisplayPort 1.4」が配置されています。
※ケンジントンロックも備わっています

側面には端子類などはありません。


底面には、ゴム脚とVESAマウント用のネジ穴があります。
(技適マークも取得されていますので、国内でも安心してワイヤレスでの利用が可能です)

天面はツメで留めているだけなので、工具なしで開けられます。
中のSSDやメモリにアクセスでき、簡単に交換や増設ができる作りになっています。(M.2 2280 のスロットが1つ空いているのが分かります。)

GMKtec「G10」の基本スペックを確認
「G10」に電源アダプタとディスプレイ、キーボード、マウスを接続して起動します。

起動すると、Windows11の初期設定画面が立ち上がります。
画面に従って初期設定を進めると、Windows11が使用できる状態になります。


OSは「Windows11 Pro」で、バージョンは 「24H2」でした。
現時点での最新版です。

CPUは「AMD Ryzen 5 3500U」で、4コア8スレッドであることが確認できました。

メモリはDDR4の16GBで、デュアルチャネルで動作しています。

SSDは、AirDisk製の512GBが搭載されていました。

GMKtec「G10」のパフォーマンス設定の変更方法
「G10」は、BIOS画面でパフォーマンスの設定を変更することが可能です。
電源ON直後に、「ESC」キーを押すとBIOSの画面に入れます。
「Main」の中の「Power Limit Select」を選択します。(デフォルトは「Balance」に設定されています。)

パフォーマンスの設定は、「Quiet」、「Balance」、「High Performance」の3つから選択できます。性能を最大限まで出したい場合は「High Performance」にします。

GMKtec「G10」の性能計測(基本性能)
「G10」の基本性能(CPUやGPU、ディスク性能)を計測します。
※全てパフォーマンス設定を「High Performance」にして計測しています
CINEBENCH R23 での計測結果
「CINEBENCH R23」を使ってCPUの性能を計測します。
計測前のCPU温度は56℃近辺です。(計測時の室温は27℃程度)

シングルスレッドの性能を計測します。
計測の結果、シングルスレッドのスコアは「885」でした。
ベンチマーク中の最大温度は93℃で、結構発熱していますが、サーマルスロットリングは発生しておらずCPUの性能をしっかりと引き出せています。

マルチスレッドの性能を計測します。
計測の結果、マルチスレッドのスコアは「3200」でした。
ベンチマーク中の最大温度は91℃で、こちらも結構発熱していますが、サーマルスロットリングは発生しておらずCPUの性能をしっかりと引き出せています。

結果をまとめると、以下のようになります。
※参考までにN100を搭載したミニPCで計測したスコアも載せておきます(PL1=20W、PL2=25Wで計測)
| シングルスレッド | マルチスレッド | |||
| スコア | 最大温度 | スコア | 最大温度 | |
| G10 (CPU : AMD Ryzen 5 3500U) | 885 | 93℃ | 3200 | 91℃ |
| N100搭載ミニPC (CPU : Intel N100) | 918 | 71℃ | 2974 | 81℃ |
N100と比較すると、シングルで少し低く、マルチでは少し高い値となりました。(N100の設定をPL1=20W、PL2=25Wに上げた値と比較しているので、なかなか良い勝負となっています。)
Geekbench 6 での計測結果
「Geekbench 6」を使ってCPUとGPUの性能を計測します。
CPUの計測結果は以下のとおり、スコアはシングルが「917」、マルチが「3123」でした。

OpenCLでのGPUの計測結果は以下のとおり、スコアは「8754」でした。

結果をまとめると、以下のようになります。
※参考までにN100を搭載したミニPCで計測したスコアも載せておきます(PL1=20W、PL2=25Wで計測)
| CPU(シングル) | CPU(マルチ) | GPU(OpenCL) | |
| G10 (CPU : AMD Ryzen 5 3500U) | 917 | 3123 | 8754 |
| N100搭載ミニPC (CPU : Intel N100) | 1234 | 3185 | 3286 |
こちらもN100と比較すると、シングルが低い値となっていて、マルチは同程度です。
また、GPU性能に関してはかなりの差が出ています。(N100のゲーム性能はかなり厳しかったので、少し期待が持てます。)
CrystalDiskMarkでの計測結果
「CrystalDiskMark」を使ってストレージ(SSD)の性能を計測します。
結果は、読み込みが「3636 MB/s」、書き込みが「2509 MB/s」という結果となりました。

N100搭載機に採用されるSSDは、基本的にストレージの読み書き性能が低いものが多く、1000MB/sを下回っているのが一般的ですが、本製品に搭載のSSDはかなりの速度が出ています。これだけの速度が出れば、困る場面は少ないと思います。
GMKtec「G10」のゲーム性能を計測
本製品はゲーム向けのPCではありませんが、試しにどれぐらいの性能を持っているのかを計測します。
※全てパフォーマンス設定を「High Performance」、内蔵GPUのメモリの割り当てはデフォルトの3GBの状態で計測しています
ドラゴンクエストX ベンチマーク
ドラゴンクエストX ベンチマークアプリで計測します。
設定は、標準品質、フルHD(1920 x 1080)、フルスクリーンで実施します。

ベンチマーク中のFPSは多くの場面で60〜70FPSをキープしていました。

計測の結果は、スコア「5729」で、評価「快適」でした。
(尚、N100搭載機での計測結果は、スコア「2664」で、評価「やや重い」でした)


ドラゴンクエストX は、比較的軽めなゲームということもあり、快適にプレイできる結果となりました。N100と比べてもかなり良い結果となっています。
ファイナルファンタジーXIVベンチマーク
ファイナルファンタジーXIVベンチマークアプリで計測します。
設定は、標準品質(デスクトップPC)、フルHD(1920 x 1080)、フルスクリーンで実施します。

ベンチマーク中のFPSは多くの場面で20〜30FPS程度でした。

計測の結果は、スコア「3283」で、評価「設定変更を推奨」でした。
(尚、N100搭載機での計測結果は、スコア「2189」で、評価「設定変更を推奨」でした)


N100と比べてスコアとしては1.5倍程度に上昇していますが、それでも「設定変更を推奨」という判定でした。ファイナルファンタジーXIVのプレイは厳しめですが、設定を見直すことである程度は遊べるかもしれません。
GMKtec「G10」の使用感
「G10」を実際に使用して感じた「良い点」と「気になった点」をお伝えします。
実際に使用して良いと感じた点
トータル性能はN100やN150よりも高い
ベンチマークの結果で見ると、CPUに関しては「G10」とN100のスコアはそれほど差はなく、ほぼ同程度といった結果になりました。一方、GPUに関しては「G10」の方がかなり高いスコアとなり、SSDの読み書きの速度も高速という結果になりました。
ゲームのベンチマークにおいてもN100よりも高いスコアが出ました。
CPUだけで見るとN100とそれほど違いはないものの、グラフィック関係で強さを発揮しています。グラフィックやSSDの読み書きの速度なども含めたトータルで考えると、N100やN150よりも高い性能を持っていると感じました。
メモリの換装が可能
N100やN150搭載のミニPCでは、基本的にメモリが1スロット(1枚)ですが、「G10」ではメモリスロットが2スロット用意されています。
購入時は、8GBのメモリが2枚で合計16GBの構成ですが、最大32GBのメモリが2枚で合計64GBまで拡張可能です。N100やN150搭載のミニPCではオンボードでメモリが搭載されていて交換できないものもの多く、交換できたとしてもここまでの拡張はできないので、拡張性の高さとしても「G10」に軍配が上がります。
必要十分な性能
Webブラウジングやオフィスアプリでの作業、動画視聴、ZOOMなどのオンラインミーティングは快適にこなせます。普段使いとしては十分な性能を持っています。
メモリ16GB、SSD 512GBを搭載しているので、こちらも十分なスペックを確保しています。また、インタフェース類が豊富な点も魅力的です。
メモリやSSDは増強もできるので、将来不足した場合でも安心です。
3画面同時出力が可能
画面出力に対応したポートが3つ(USB-C、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4)用意されていて、最大4K 3画面の出力に対応しています。
3画面に出力できるので、効率よく作業できます。
あらゆるシーンで役立ちます。
電源供給に汎用的なUSB-Cが採用されている
電源供給に多く用いられているDCジャックではなく、汎用的なUSB-Cでの給電が採用されています。付属のアダプタ以外でも、一般的な65W以上のUSB-CアダプタとUSB-Cケーブルがあれば電源を供給できます。
本体を持ち運びたい場合(USB-Cアダプタとケーブルは持ち運び先に常設)や、万一、電源アダプタが故障した場合などにも助かります。
実際に使用して気になった点
ワイヤレスの対応バージョンが古い
ワイヤレスに関して、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0とバージョンが結構古いです。
通常の使い方であれば、問題になることはあまりないとは思いますが、特にWi-Fiについては、大きなデータのネットワーク経由のダウンロードやコピー、高解像度の動画視聴、応答性が求められるネットゲームなどは遅いと思う場面が出てくる可能性もあります。
まとめ
本記事では、GMKtecのミニPC「G10」を紹介しました。
CPUにRyzen 5 3500U、メモリ16GB、SSD 512GBを搭載し、N100搭載のPCと比較してもトータル性能は高いです(特にグラフィック性能が高い)。また、メモリやSSDの拡張性にも優れます。かなりコスパの高い製品に仕上がっています。
安くて、使えるミニPCを探されている方にはおすすめです。また、N100搭載機との価格差もほとんどないので、N100やN150搭載のミニPCを探されている方にも、本製品を検討の対象にしてもらえたらと思います。


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