この記事では、次のような疑問や悩みに答えます。
- 性能と価格のバランスが良いコスパの高いミニPCを探している。
- MinisforumのミニPC「UN100P」がどのような製品か知りたい。
CPUにIntelのN100を搭載したPCが大人気です。
その理由は、低価格であるにも関わらず、省電力で実用的な性能があるという点です。
N100は特にミニPCに採用されることが多く、ミニPCで有名なメーカーであるMinisforumからもIntel N100を搭載したコスパの高いミニPCが発売されています。
そこで本記事では、Minisforumから発売されているIntel N100を搭載したミニPC「UN100P」を紹介します。
「UN100P」は、N100による実用的な性能と充実したインタフェース(端子類)を備え、幅広い分野で活用できます。しかも価格は3万円程度で購入できるというコスパの高い製品に仕上がっています。
記事内では「UN100P」の使用感や性能計測を行った結果も紹介していますので、コスパの高いミニPCを探されている方はぜひ参考にしてください。
MinisforumのミニPC「UN100P」の製品概要
「UN100P」は、Minisforumが販売するIntelの12世代CPU「N100」を搭載した小型パソコンです。
CPUはIntelのN100(4コア、4スレッド)を搭載し、メモリは16GB、ストレージは最大512GBのモデルが用意されています。(ストレージは512GBの他に、256GBのモデルも用意されています。)
2.5インチのSATA HDDスロットを備えているので、ストレージ容量の増設が可能です。
2.5G LANやTFカードスロット(microSDカードスロット)など充実したインタフェースを備えています。また、ワイヤレス機能としては、WiFi6、Bluetooth5.2に対応しています。
手のひらに乗せられるぐらいコンパクトなサイズ感です。
主なスペックは以下の通りです。
型番 | UN100P |
CPU | Intel® N100 Processor (4 コア/4 スレッド 、6MBキャッシュ合計、最大ターボ周波数3.4GHz) |
グラフィック | Intel® UHD Graphics |
メモリ | 16GB DDR4 3200MHz シングルチャネル (SODIMM スロット×1, 最大16GBまで) |
ストレージ | 256GBまたは512GB (M.2 2280 PCIe3.0 SSD×1) |
ストレージ拡張 | 2.5 inch SATA HDD Slot ×1 (SATA 3.0 6.0Gb/s) ※最大2TBまで拡張可能 |
インタフェース(前面) | USB 3.2 Gen1 ポート(Type-A) x 2 USB 3.2 Gen2 ポート(Type-C) x 1 3.5 mm ヘッドフォン ジャック x 1 電源ボタン リセット穴 |
インタフェース(背面) | RJ45 2.5ギガビット イーサネット ポート x 1 USB 3.2 Gen2 ポート(Type-A) x 2 HDMI 2.0 ポート x 2 DC ジャック |
インタフェース(側面) | TFカードスロット(microSDカードスロット) ケンジントンロック |
ワイヤレス | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
OS | Windows11 Pro |
サイズ | 127.5×112.4×40mm |
詳細は、以下の公式サイトでも確認できます。
Minisforum「UN100P」のパッケージと内容物
「UN100P」のパッケージを紹介します。
パッケージはしっかりとした紙製の箱です。
薄いビニールで保護されているので、配送時の水濡れの心配がありません。
環境に配慮しているのか、表側も裏側もとてもシンプルなデザインです。
パッケージを開封すると、このような形で内容物が小さな箱に分かれて収まっています。
パッケージの中には、以下の5点が入っています。
<内容物>
・ミニPC本体(UN100P)
・電源アダプタ
・HDMIケーブル
・VESAマウントキット(ネジ含む)
・取扱説明書
専用の電源アダプタが付属します。
出力は最大36Wに対応しています。PSEマークも取得済みなので安心です。
HDMIケーブルも付属します。
VESAマウントするための金具とネジが付属します。
VESA対応のディスプレイの裏などに固定したい場合に使用します。
取扱説明書は多言語表記で、日本語の記載もあります。
Minisforum「UN100P」の外観
「UN100P」の外観を紹介します。
本体は少し横長の長方形で、カラーはブラックです。
材質はプラスチック(樹脂)製ですが、見た目としてはそれほど安っぽさは感じません。
上面(天面)は、右下に「MINISFORUM」のロゴと文字が入っています。
斜め方向に、帯状に細かな模様が入っています。
前面には、ボタンや端子類が配置されています。
左から、「リセット穴」、「USB 3.2 Gen1 ポート(Type-A) x 2」、「USB 3.2 Gen2 ポート(Type-C) x 1」、「3.5 mm ヘッドフォン ジャック x 1」、「電源ボタン」が配置されています。
背面にも端子類が多数配置されています。
左から、「RJ45 2.5ギガビット イーサネット ポート x 1」、「USB 3.2 Gen2 ポート(Type-A) x 2」、「HDMI 2.0 ポート x 2」、「DC ジャック」が配置されています。
側面には、「TFカードスロット(microSDカードスロット)」と「ケンジントンロック」が配置されています。
底面には、ゴム足とVESAマウント用のネジ穴があります。
(技適マークも取得されていますので、国内でも安心してワイヤレスでの利用が可能です)
Minisforum「UN100P」の基本スペックを確認
「UN100P」に電源アダプタとディスプレイ、キーボード、マウスを接続して起動します。
起動すると、Windows11の初期設定画面が立ち上がります。
画面に従って操作を進めると、Windows11が使用できる状態になります。
OSは「Windows11 Pro (バージョンは23H2) 」であることが確認できます。
CPUは「Intel N100」で、4コア4スレッドであることが確認できます。
メモリはDDR4の16GB1枚で、シングルチャネルで動作していることが確認できます。
SSDはHighRelの512GBが装着されていることが確認できます。
Minisforum「UN100P」の電力制限について
「UN100P」に搭載のCPU「Intel N100」は電力制限(Intelの推奨値)がかかっています。
CPUにはPL1(PL1は原則としてTDPと同じ値になっていて、通常はこの範囲に収まるように動作する)とPL2(Turbo Boostにより消費電力が増えた際の最大値)があります。
「UN100P」では、PL1が6W、PL2が25Wに設定されています。
PL1とPL2はBIOSで設定の変更が可能です。
設定変更のやり方を説明します。
電源ON時に「F2」キーを連打して、BIOS画面に入ります。
BIOS画面の「Advanced」タブの「Power & Performance」を選択します。
「CPU – Power Management Control」を選択します。
「View/Configure Turbo Options」を選択します。
「Power Limit 1 Override」を「Disabled」から「Enabled」に変更します。
「Power Limit 1」を20000に、「Power Limit 2」を25000に設定します。
それぞれ、20Wと25Wを指定しています。
「escキー」を何度か押して、トップ画面に戻ります。
「Save & Exit」タブの「Save Changes and Exit」を選択し、「Yes」を選択します。
PCが再起動されてOSが起動します。
これでPL1が20W、PL2が25Wに変更されました。
Minisforum「UN100P」の基本性能を計測
「UN100P」の基本性能(CPUやGPU、ディスク性能)を計測します。
「CINEBENCH R23」と「Geekbench 6 」での計測に関しては、デフォルトのPL1(6W)、PL2(25W)と設定変更したPL1(20W)、PL2(25W)の両方で実施します。
CINEBENCH R23 での計測結果
「CINEBENCH R23」を使ってCPUの性能を計測します。
計測前のCPU温度は43℃近辺です。(計測時の室温は28℃程度)
デフォルトのPL1(6W)、PL2(25W)の設定で、シングルスレッドの性能を計測します。
計測の結果、シングルスレッドのスコアは「751」でした。
ベンチマーク中の最大温度は65℃で、発熱は低く、十分余裕があります。
次に、デフォルトのPL1(6W)、PL2(25W)の設定で、マルチスレッドの性能を計測します。
計測の結果、マルチスレッドのスコアは「1654」でした。
ベンチマーク中の最大温度は68℃で、こちらも発熱は低く、十分余裕があります。
続いて、設定変更したPL1(20W)、PL2(25W)の設定で、シングルスレッドの性能を計測します。
計測の結果、シングルスレッドのスコアは「918」でした。
ベンチマーク中の最大温度は71℃で、デフォルトのPL1、PL2の時よりも温度は上がりましたが、それでも十分余裕があります。
次に、設定変更したPL1(20W)、PL2(25W)の設定で、マルチスレッドの性能を計測します。
計測の結果、マルチスレッドのスコアは「2974」でした。
ベンチマーク中の最大温度は81℃で、こちらもデフォルトのPL1、PL2の時よりも温度は上がりましたが、それでもまだ余裕があります。
ちなみに、ベンチマーク中のCPUの消費電力は13W台までしか上がっていなかったので、PL1の値は15Wでも良さそうです。
結果をまとめると、以下のようになります。
シングルスレッド | マルチスレッド | |||
スコア | 最大温度 | スコア | 最大温度 | |
PL1(6W)、PL2(25W) | 751 | 65℃ | 1654 | 68℃ |
PL1(20W)、PL2(25W) | 918 | 71℃ | 2974 | 81℃ |
PL1、PL2の設定を変更することで、かなり性能が向上しました。
ベンチマーク中のCPU温度と消費電力は高くなりましたが、それでも十分許容範囲に収まっています。
ファンの音の大きさもほとんど変わりませんでした。
シングル「918」、マルチ「2974」というスコアは、Intelの第8世代「Core i5-8250U」に近い値です。この価格でこれだけの性能が出せれば十分ではないでしょうか。
Geekbench 6 での計測結果
「Geekbench 6」を使ってCPUとGPUの性能を計測します。
デフォルトのPL1(6W)、PL2(25W)の設定でのCPUの計測結果は以下のとおり、シングルが「1168」、マルチが「2237」でした。
デフォルトのPL1(6W)、PL2(25W)の設定でのGPUの計測結果は以下のとおり、OpenCLが「3205」でした。
設定変更したPL1(20W)、PL2(25W)の設定でのCPUの計測結果は以下のとおり、シングルが「1234」、マルチが「3185」でした。
設定変更したPL1(20W)、PL2(25W)の設定でのGPUの計測結果は以下のとおり、OpenCLが「3286」でした。
結果をまとめると、以下のようになります。
CPU(シングル) | CPU(マルチ) | GPU(OpenCL) | |
PL1(6W)、PL2(25W) | 1168 | 2237 | 3205 |
PL1(20W)、PL2(25W) | 1234 | 3185 | 3286 |
CINEBENCH R23の結果と同様に、PL1、PL2の設定を変更をすることで、CPUはかなり性能が向上しました。
CrystalDiskMarkでの計測結果
「CrystalDiskMark」を使ってストレージ(SSD)の性能を計測します。
結果は、読み込みが「850 MB/s」、書き込みが「865 MB/s」とあまり速くない結果となりました。
とはいえ、1,000MB/s 近くまで出ているので、実際に使用していて遅いと感じる場面は少ないです。(大容量のファイルのコピーやディスクへの書き出しなど、大量のディスクI/Oが伴う作業で遅いと感じる場面があります。)
Minisforum「UN100P」のゲーム性能を計測
「UN100P」のゲーム性能を計測します。
ゲーム性能の計測では、設定変更したPL1「20W」、PL2「25W」のみで実施します。
本製品はゲーム向けのPCではありませんが、試しにどれぐらいの性能を持っているのかを計測します。
ドラゴンクエストX ベンチマーク
ドラゴンクエストX ベンチマークアプリで計測します。
設定は、標準品質、フルHD(1920 x 1080)、フルスクリーンで実施します。
ベンチマーク中のFPSは多くの場面で30〜40FPSをキープしていました。
計測の結果は、スコア「2664」で、評価「やや重い」でした。
ドラゴンクエストX は、比較的軽めなゲームですが、それでも少し厳しい結果となりました。設定を見直すことである程度は遊べそうです。
ファイナルファンタジーXIVベンチマーク
ファイナルファンタジーXIVベンチマークアプリで計測します。
設定は、標準品質(デスクトップPC)、フルHD(1920 x 1080)、フルスクリーンで実施します。
ベンチマーク中のFPSは多くの場面で10〜20FPS程度しか出ていませんでした。
計測の結果は、スコア「2189」で、評価「設定変更を推奨」でした。
ファイナルファンタジーXIVのプレイは諦めた方が良さそうです。
Minisforum「UN100P」の使用感
「UN100P」の使用感として、良いと感じた点、残念に感じた点を紹介します。
良いと感じた点
コスパが高い(性能と価格のバランスが良い)
CPUのベンチマークで紹介したように、本製品のCPU「Intel N100」はIntelの第8世代「Core i5-8250U」に匹敵する性能を持ちます。3万円程度で購入できるパソコンであることを考えると、Intelの第8世代「Core i5-8250U」に匹敵する性能を持つ本製品はコスパが高いです。
CPUだけでなく、メモリ16GB、SSD512GBで、こちらも十分なスペックを確保しています。また、インタフェース類が豊富な点も魅力的です。
普段のWebブラウジングやオフィス業務、ZOOMなどのオンラインミーティング、動画鑑賞などは十分快適にこなせます。
最大3画面の映像出力が可能
画面出力可能なHDMIが2つ、USB-Cが1つ備わっていて、最大4K 3画面までの出力に対応しています。
3画面まで出力できるので、効率よく作業できます。
あらゆるシーンで役立ちます。
USB-Cでの電源供給(起動)が可能
本体への給電は付属の電源アダプタを使用するのが基本ですが、実はUSB-CポートがPD対応となっていて、USB-Cケーブルによる給電も可能です。
汎用性の高いUSB-Cでの給電が可能なので、本体を持ち運びたい場合(USB-Cアダプタとケーブルは持ち運び先に常設)や、万一、電源アダプタが故障した場合などにも助かります。
microSDカードスロットを備えている
本体側面には、TFカードスロット(microSDカードスロット)が備わっています。
ミニPCでmicroSDカードスロットを備えている機種は少なく、ありがたいです。
特に、スマホやタブレット、カメラなどの機器でmicroSDカードを使っている場合は、別途カードリーダーを用意する必要がなく、直接microSDカードの読み書きが可能なので便利です。
残念に感じた点
約3万円という低価格であることを考えると、残念に感じる点はほとんどありませんでした。あえて言うなら以下の点ぐらいでしょうか。
用途によっては性能が足りない
CPUのスペックはそれなりにありますが、特にGPUのスペックが低いため、動画編集、3Dモデリング、3Dゲームなどのハイスペックを要求されるような用途には向きません。処理によってはディスク性能もさらに足を引っ張る可能性があります。
これらの用途で使う場合には、上位機種の購入を考える必要があります。MinisforumではハイスペックなミニPCも多数用意されていますので、その中から選択するというのもありです。
まとめ
本記事では、Minisforumから発売されているIntel N100を搭載したミニPC「UN100P」を紹介しました。
ベンチマークでの性能計測結果を紹介した通り、通常の利用(Webブラウジングやオフィス業務、動画鑑賞など)においてはCPU性能は十分です。メモリが16GB、SSDが512GBあるのでこちらも十分なスペックです。インタフェース類も豊富で、通常利用で困る場面は少ないと思います。
このミニPCが約3万円で購入できると言うのは、とても魅力的であり、コストパフォーマンスが高いと言わざるを得ません。実用的な性能を備えた安価なミニPCを探されている方には、ぜひ候補にしていただきたいです。
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